kumac's Jazz -7ページ目

Alf Haggkvist『fog』

 ネットで検索できる風貌から察して、60歳前後だろうか。スウェーデンのピアニスト、アルフ・ヘッグクヴィストの2014年6月12日、13日に録音された3作目の作品です。タイトルがそのままジャケットの風景が画像とストレートに結びつくCDです。要は、気負いのないストレートに自分を出した作品だという印象を物質的なところから感じ取ることが可能で、そんな作品かなと思います。

 表題作「Fog」は、ありきたりですが、北欧らしい透徹した音の響きが感じられます。濁音やブレのない音です。特に、饒舌でもなく、テクニックをひけらかすこともなく、情感をどちらかというと内に秘めて表現しています。3曲目「Five Years Later」は、「5年後に」という意味深な題名なのですが、ソウルフルなリズムと和音の響きで始まり、一瞬にして感情的なフリーロームな演奏に移るという、ちょっと意外性のある演奏です。現代社会の不透明さ、混乱(いつの時代も、先は不透明なのだと思いますし、そのただ中に生きる人は得てして「混乱の時代」ということばを使うのですが)、をスケッチ風に表現したものかもしれません(そう、kumacは感じました。)

 4曲目「Annie」は、比較的長い6分37秒の曲です。ミデアムテンポの主題のメロディーとアドリブ部分の境があまり際立たない散文的(物語的)な曲です。どこか、バッハを彷彿とさせるクラシカルな接近方法をとっています。どうしても、ヨーロッパの、特にピアニストはこういう音から離れられないところがあるかと思います。その延長線上に、ビル・エバンスも居たと思うのですが、どうでしょうか。でも、この曲は凄く情感が溢れてこの作品の中ではとても好きな演奏です。

 久しぶりに、このブログを更新していますが、改めてジャズはいいなと思ってしまうのです。この作品では、2曲ほどジャズのスタンダードナンバーを元に、アルフ・ヘッグクヴィストが作曲を行った作品があります。一つは「 All The Things You Are / Alf’s theme」、もう一つは「I Hear a Rhapsody / Alf’s theme」です。どちらも、原メロディーから始まり、次第にそのテーマの展開を図ってゆく演奏となってゆきます。普通は、スタンダードナンバーを演奏する場合は、テーマから入り、アドリブ部分で展開を図るのですが、敢えてアルフ・ヘッグクヴィストはそれをせずに、自分の解釈を提示して、そこからアドリブを行います。この一見、無駄な作業は何を意味するのか、という疑問を感じるのですが、彼は「北欧の色調で彩った、ジャズとクラシカルミュージックのミックス」ということをこの作品について語っているようなので(引用はここからさせていただきました)、この言葉で納得できるものがあるかと思います。

 様々な試みをしている全11曲です。しかし、演奏に統一感があり、ゆったりと時間が流れ、聴く者の心を豊かに膨らましてくれる作品です。


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fog


Date FM Jazz Struttin 2014.11.15

 11月の特集は「晩秋に聴くマイルス・デイヴィス」。ありきたりと言えば、ありきたりですが、文句のつけようのない特集でしょうか。でも、他の選曲は、自分的にはイマイチかな。

【1曲目】ゴギー・グラント「アイム・ア・ドリーマー」

 唄もの。こういう脱色された音は、まだ人種差別が激しかった頃の、いわゆるホワイトカラーの名残りとしかい言いようがない。そう考えると、なんとも言いようのない悲しさが湧いてくる。これも、そういう感傷的な聴き方もジャズの一つかな?
グランテッド・イッツ・ゴギー/BMG JAPAN

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【2曲目】ラルフ・シャロン・トリオ「ジャスト・イン・タイム」

 これも、1曲目と大体において似ている系統の音で、闘っていない。要は、娯楽としてしか存在しない片方の世界なのかな。
トニー・ベネット・ソングブック/SMJ

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【3曲目】イーディス・ライト「スターダスト」

 唄もの。この番組の方向が、どうやら灯台の明かりではなく、GPS を頼りに舵を取り始めたような気がする。そんな、種類。
スターダスト/BMGメディアジャパン

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【4曲目】マイルス・デイヴィス「チューン・アップ」

  バックはフランスのミュージシャンで、マイルスがバンドの音を気にせずに自由にソロを吹いている。肩慣らし程度の音です。

【5曲目】マイルス・デイヴィス「マイルストーンズ」

 マイルスは、完璧主義者という印象を持ってしまうが、決してそうではないと思っている。完璧主義者は、ライブ演奏時に、実験はしない。実験して完成した音楽を聴かせる。しかし、マイルスは、理想の音楽を追求する過程を聴かせる。そこに、観客はほとんど存在しない。そんな演奏ですね。やはり、コルトレーンの方がキャノンボールより、粗さという点で数段上かな。
マイルストーンズ/ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル

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【6曲目】マイルス・デイヴィス「ドラッド・ドッグ」

 マイルスにしては、ちょっとかわいい演奏です。前記で言えば、冒険していない演奏です。


【7曲目】マイルス・デイヴィス「イット・ネヴァー・エンタード・マイ・マインド」

 秋ならではの演奏ですね。言うことなし。
サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム+2/SMJ

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【8曲目】カーメン・ランディ「エヴリシング・アイ・ニード」

 唄もの。ビッグバンドに生えるような器の大きな声です。
ソウル・トゥ・ソウル/コアポート

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【9曲目】デイヴ・ブルーベック・カルテット「イッツ・オンリー・ア・ペイパー・ムーン」

 ベースがエレキだと思うけど、それにテナーがコルトレーンの影響を諸に受けている。デイブ・ブルーベックの特徴がすっ飛んだ演奏です。
ペイパー・ムーン/ビクターエンタテインメント

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【9曲目】カーメン・マクレエ「ユーア・オール・アイ・ニード」

 唄もの。そもそも、カーメン・マクレイの唄自体が好きになれない kumac なので、ヴォーカルは駄目ですね。
トゥー・フォー・ザ・ロード/ユニバーサル ミュージック

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Dizzy Gillespie & Stan Getz 『Diz And Getz』

 最近、再び3年ぶりに電車通勤をするようになりました。おかげで、通勤時間に音楽を聴く機会が増えました。基本的には、kumacの聴き方は、iPhone に入っている曲をランダムにかけるといういい加減なもの、5千8百曲ある曲をランダム再生にセットすると、ほとんど何の曲が次に流れるのか、予想が付かないです。そして、違う曲との対比もあるのだろうけど、これまでさほど興味のなかった曲でも、突然、立ってくる場合があります。
 先日は、ディジー・ガレスピーの1950年代のビッグバンドの曲が流れました。とっても、賑やかで、演奏は超絶、素晴らしかった。その次に、スタン・ゲッツ流れた。これまた、素晴らしい。この二人は好きですね。ガレスピーは、その当時のメンバー、ビリー・ミッチェルとかアル・グレイとかが好きだということもありますが、とても至福の時間を朝の通勤時間にいただいた。
 で、先日、中古レコード市が仙台のパスコであり、いつもの通りに物色していると、この二人が一やっている作品を偶然に見つけてしまった。財布が、いつも寂しいkumacにとては、危険信号が点滅する瞬間です。幸い、お安い値段だったので、清水から飛び降りる気持ちでレジに持って行きました。

 てなことで、この作品です。

 メンバーは、ディジー・ガレスピー(tp)、スタン・ゲッツ(ts)、オスカー・ピーターソン(p)、ハーブ・エリス(g)、レイ・ブラウン(b)、マックス・ローチ(ds)という申し分のないものです。1953年12月9日の録音です。

 1曲目「It Don't Mean A Thing」、早いテンポの曲です。それを彼ら二人の超絶な演奏が聴けます。最初は、ディジー・ガレスピーです。ミュートで、ばんばんと押してくる。変に騒ぎ立てることなく、演奏に集中しています。まじめな、ガレスピーです。二番目は、スタン・ゲッツ、楽器の特徴もあるでしょうが、ゲッツの流れるようでキレのあるソロが聴けます。どこまでも、湯水のようにわき出るフレーズはもう最高です。オスカー・ピーターソンも負けじと、早弾きします。

 2曲目「I Life A Song Go Out Of My Heart」、ゆったりとしたミデアムテンポの作品です。曲のメロディーをとても大事に二人とも演奏をしています。ディジー・ガレスピーのソロの間、スタン・ゲッツが優しく、バッキングで音を鳴らしています。その音に、ガレスピーも反応を示して、互いのソロの二重奏になるところが面白いです。オスカー・ピーターソンのソロに入ると、ホーンでないので、点での音となるため、ハーブ・エリスのバッキングの音が聞こえてきて、この二人の関係がとて微笑ましいです。スタン・ゲッツの演奏は、コード進行に従って自由自在にアドリブを行うのでなく、しっかりと原曲のメロディーを大事にしたソロを展開しています。

 3曲目「Exactly Like You」は、2曲目と同じような感じの演奏です。

 とにかくもって、この二人にサポートメンバーが、ジャズ界の後の重鎮であれば、文句の言いようのない演奏に仕上がっています。

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Diz & Getz + 6 Bonus Tracks/AMERICAN JAZZ CLASSICS

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Antonio Sanchez『Three Time Three』Disc2

 前回に続き、アントニオ・サンチェスの新作のディスク2です。
 
 最初の3曲は、アントニオ・サンチェス(ds)、ジョン・スコフィールド(g)、クリスチャン・マクブライド(b)のトリオです。アントニオ・サンチェスのドラミングは前回書いたように、繊細ではけっしてありません。どちらかというと朴訥だと思います。だから、バンドの他のメンバーの演奏を引き立てるという感覚ではないような気がします。対等に、音の広がりをぶつけ合うという感じです。例えば、ビル・エバンスとポール・モチアンのように、一つの統一した音楽を作り出すようなことはないと思います。それは、結果としては当然あるのですが、そうではなく、互いに持っている音の世界(広がり)を提示して、あくまで個性を失わない、二つの共感した別な世界を作り上げるというイメージです。

 ジョン・スコフィールドは、彼特有な言語感覚を有していると思います。ギターの世界では、こういう弾き方をする方はけっこういるかと思うのですが、あまり滑らかなラインで音を弾かない、目の粗いのこぎりで切り刻んだ、ギザギザの形の揃っていない衝撃音の急角度の波長を持った音楽です。その荒い起伏に対して、アントニオ・サンチェスは挑みかかることではなく、谷を掘るようなドラミングを行います。底を掘り下げるのです。宇宙にでも飛んで行きそうな音の光と、底無しの黒い闇のコントラストと言ったら、言い過ぎでしょうか。とても、刺激的な良い演奏です。

 一方の残り3曲は、ジョー・ロバーノ(ts)とジョン・ペトゥウッチ(b)のトリオです。ジョー・ロバーノは、傾向的には前のジョン・スコフィールドと似たノンメロディアンな音を出すテナー奏者です。無機質なジョンスコに対して、こちらはソウルフル、有機質タイプです。アルバート・アイラーの系譜を感じさせる、現代では稀な奏者だと思います。

 kumacの思いで言えば、この2枚の作品の3種類のトリオの中では、このトリオが最高によい組み合わせだと思います。アントニオ・サンチェスのドラミングは、表面的でないのです。ヒョ城が、一見、饒舌でないです。だから、ジョー・ロバーノのように、主張する音とは相性が良くて、アントニオ・サンチェスのドラミングが却って、引き立つと思います。ここで、よく耳をそば立てて聴けば、アントニオ・サンチェスのドラミングはとても、饒舌なのです。それを感じさせないところが、すごいです。

 CDとしては、今年最高の演奏の一つではないでしょうか(ほとんど、新作を最近聴いていませんが)。





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Antonio Sanchez『Three Time Three』Disc1

 2013年10月、今から1年前に録音されたドラマーの、アントニオ・サンチェスの2枚組のリーダー作です。ミックスダウンが今年の4月なので、現時点(2014年10月)で最新作と言えば、言えなくもないかな。

 ディスクを二つに分けて記事を書くのは、理由があります。ディスク1は、アントニオ・サンチェスとブラッド・メルドー(p)、マット・ブレアー(b)とのトリオ、ディスク2は、ジョン・スコフィールド(g)、クリスチャン・マクブライド(b)とのトリオ。それにジョー・ロバーノ(ts)、ジョン・パティッチ(b)と異なる編成に別れているからです。それで、とりあえず、今日はディスク1の方を聴きました。

 全3曲、12分、14分、8分と長めの演奏です。1曲目「Nar-This」は、曲名から連想されるナルシストという言葉を彷彿とさせる美しい演奏です。アントニオ・サンチェスのドラミングは、繊細と言うよりも、音に微妙なニュアンスをつけずに、けっこう大胆です。なので、ブラッド・メルドーの端麗なピアノタッチの音色がかえって引き立つのかなと思います。つまり、情感が高まる部分を、ブラッド・メルドーは多くを弾かなくても、アントニオ・サンチェスが表現してくれています。その両者の関係は、絶妙です。

 2曲目「Constellations:は、アントニオ・サンチェスのオリジナル曲です。極力、打楽器の部類に入るピアノを打楽器的でなく演奏することを求める曲です。それに対して、メルドーは、ハーモニーの響きを大事にした音をピアノから弾き出しています。このコントラストは、曲のイメージを最後まで維持し、膨らみのある演奏に仕上げています。ソロに入ったときの、三者の関係は、緊張感がとてもあり、素晴らしい演奏です。

 生きの良いミュージシャンが、真正面からジャズに接近した、とてもよい作品だと思いました。



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Lorenzo Tucci『Drumpet』

 タイトルにロレンツォ・ツゥッチの名前よりも少々小さい字で「with Fabrizio Bosso」とクレジットされています。ロレンツォ・ツゥッチのリーダー作でしょうが、実質的にファブリッツォ・ボッソとの同等の位置づけの共同作業のデュオオルバムということのようです。タイトルからして、ドラムとトランペットのスペルを合わせものとなっています。
 ご存知の通り、この二人は ハイ・ファイヴ・クインテットというユニットのメンバーであり、しかも互いに強烈なインパクトを与えたリーダー作を出している、kumac的に言わせていただければ技巧派のイタリアジャズ界を飛び出している世界的なジャズミュージシャンです。
 その二人がデュオ作品を出したとなると、興味を抱かない訳にはいかないです。
 1曲目「Talking Drums」は、その名の通りロレンツォ・ツゥッチがドラムで語るというソロパフォーマンスを繰り広げています。ロレンツォ・ツゥッチの特徴は、繊細で多彩でドラミングにあると思っています。彼ほど、雄弁に単なる打楽器であるドラムで様々な音色を表現できるドラマーは、kumacは他に知らないです。そのことをしっかりと提示した作品です。プロローグとしての意味が大きいと思いますので、さりげなく語っています。2曲目「Lu Piante De Le Fojje」は、ファブリッツォ・ボッソがトランペットを多重録音しています。オペラ歌謡のような古典的クラシカルな曲です。おおらかに吹いていますし、ロレンツォ・ツゥッチはその背後で奥行きの深い世界を見事に叩き出しています。3曲目「Don't Kill Him」は、激しいロレンツォ・ツゥッチのドラミングから、そのに対峙するファブリッツォ・ボッソの電気で増幅されたトランペットの音がかぶります。そして、互いが持つ粘土質の粗い感情をぶつけ合って、確認したかのような曲です。4曲目「Happy End」は、静かに始まります。壮言な言い回しで始まる曲です。ボッソの得意のフレーズの長い演奏が聴き応えがあります。5曲目「Alone With Drums」は、力強いロレンツォ・ツゥッチのドラミングから始まり、アフリカの民族音楽に似たリズムの感覚が見え隠れします。1分21秒とい短い曲です。
 タイトルからわかるように、互いに主張し合うというよりは、互いに同調して一体となって、曲を演奏するというイメージの作品だと思います。それは5曲目「Kanzia」を聴けばわかります。美しい豊かなメロディーを、さほど互いのアドリブとなるソロを演奏せずに、一つのイメージとして提示しています。多分、彼らのライブがあれば、アドリブの時間が増えてきて、この演奏の繋がりでかなり白熱した競演が聴けるはずです。それは、凄まじい意だろうなと予感させてくれます。
 録音は2012年なので、少々古いのですが、時間の経過は全く感じさせない、中身の充実した作品です。


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Nature/Via Veneto Jazz / Jandomusic

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Date FM Jazz Struttin 2014.09.13


【1曲目】ジジ・グライス「レット・ミー・ノウ」

 ジジ・グライシスは、なつかしい名前だけど、あまり実際は聴いたことがない。一聴して、ジョニー・グリフィンを彷彿とさせるパンチの効いた演奏です。これはアルトでの演奏でしょうか。楽器の鳴らし方が特徴的です。つや消しを施した木訥な音です。リチャード・ワイアンズのピアノは、これまで聴いた彼のソロとしては、秀逸です。良い選曲です。

Saying Somethin’!/OJC

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【2曲目】ベティ・カーター「ゼアズ・ノー・ユー」

 ベティ・カーターは好きな歌手です。だから、ちゃんと聴きました。これは、若い頃の声でしょうか、まだ楽器的な演奏をしていない、彼女の個性が特出する前でしょうか、こういう歌声にはあまり興味はないです。それに、ベティ・カーターという名前を除けば、この唄になんら価値はないと思うのですが・・・。

ザ・モダン・サウンド・オブ・ベティ・カーター/MCAビクター

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【3曲目】ヤン・ラングレン「ワルツ・フォー・マリオン」

 定禅寺ジャズでは、あまりの人混みで聴けなかったヤン・ラングレン。彼のメロディーのセンスは、ちょっと kumac には、慣れないところがある。フランスナイズされた感覚と言っていいのだろうか、起伏の少ないとてもエレガントで繊細な演奏だが、集中して聴かないと、と思わせる曲です。

Flowers Of Sendai(ボーナストラック収録/解説つき)/AGATE

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【4曲目】ニコラ・コンテfeaマーヴィン・パークス「イフ・アイ・シュッド・ルーズ・ユー feat.マーヴィン・パ」

 唄モノ、パス。

フリー・ソウルズ/ユニバーサル ミュージック

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【5曲目】ハンプトン・ホーズ「恋人よ我に帰れ」

 バップピアニストの本領発揮と言って良い、とてもエネルギッシュな演奏です。文句なく、この日のベストチョイスでしょう。なんとも、言えない、ハンマーで叩いた迷路のような音の展開が嬉しいです。

ベスト・ジャズ・ピアノ100プレミアム/ユニバーサルミュージック

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【6曲目】ナット・キング・コール「モナ・リザ」

 かつて、未発表トラックの「幻」とついた作品で、良い作品を耳にしたあまりないです。それは、貴重な録音としての価値は十二分にあると思いましたが、それ以上でも以下でもなかったという記憶があります。これも、まさにそういう音ですね。

ナット・キング・コールのすべて/ユニバーサル ミュージック

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【7曲目】スタン・ゲッツ「エヴリシング・ハプンズ・トゥ・ミー」

 ドライブ感のない。つまり、炭酸が切れたサイダーみたいなゲッツの演奏です。それでもゲッツは素晴らしいところが、なんとも言えない絶対的な魅力です。かなりマニアックな選曲のような気がする。意図が見え見え。

ジャズを聴きたくて~金曜日のジャズ・バラッドはエクスタシー/ユニバーサルクラシック

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【8曲目】トリオ・エスペランサ「残されし恋には」

  ボサノバ=ノンジャズ。

ビューティフル・ハーモニー ~ときめきのシャンソン名曲集~/リスペクトレコード

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【9曲目】トゥーツ・シールマンス「ドント・ブレイム・ミー」

 ジャズにおけるハーモニカの良さって、なんだろうと考えると。妙技という言葉に繋がってくる。道化師でもいいけど、こういうしっとりとした演奏を聴かせられると、ちょっと上滑りしてしまう。

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【10曲目】フレッド・ハーシュ「フローティング」

 深刻ぶった演奏。彼の世界に、無理矢理入れと言われてもツールマンのあとに、なんの準備もなく浸るのは難しい。ミスマッチですね。全体に、統一性がない。アナウンスを一つ入れるとか、工夫が必要だ。せっかくの良い演奏が台無しになる。
 いわゆる、幻想系の演奏。バラードでもない、よくあるヨーロッパ系の人たちが演奏するミステリアスさとをまとった空気感を表現したもの。それはそれで美しい。




Floating/Palmetto Records

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 FM 仙台のサイトの曲検索で出てくる収められているアルバムの紹介が、やたらオムニバス版が目立つ。これは、現在手に入れられるものという配慮だと思いますが、原盤を知りたい方にとっては、なかなかやっかいなことですね。

 安易に、こういうところから引っ張ってくるのは、いかがなモノでしょうか。この番組の、良さが消えてしまっているような気がします。というか、構成作家のネタが切れつつあるのかな?



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Pat Metheny『First Circle』

 パット・メセニーは、かなり頻繁にというか、あたかも年中行事のように定期的に自分のバンドのメンバーを一新する。それに加え、他流試合を行い、さらにソロ的な演奏も試みている。このい、いわば新しい音楽を常に追求する姿勢は、それだけで賞賛に値するのではないかと思ってしまうが、その一見、変幻自在な変わり身の早さに思える音楽性にぴて、一貫しているものがあるような気がする。というか、それがあるからこそ、パット・メセニーは常に、ジャズ界に革新という新しい血を、創造性の可能性を感じさせてくれているのだと思う。

 では、そのパット・メセニーの音楽を貫いている太い幹は何か。簡単に言えば、「旋律」ではないかと思っている。フリーフォームの演奏もかなり行っている彼の音楽に、常に旋律が存在しているというのは、無謀かもしれないが。そして、どんな人が奏でる音楽にも旋律は存在する故に、当たり前のことではないかと言われることになるのだが、それでも、敢えて「旋律」と言いたい。

 最初の音を虚空に響かせたのなら、次の一音が続くことで音に律動が生じる。さらに、次の一音で、律動のさらなる流れが生じる。それが、たまたま美しいメロディだったり、否定形の表現だったりする。その音のつながりに妥協しない、意図的な作為を感じる。惰性で、音を弾かないところに、パット・メセニーの音楽を感じる。

 確かに、癖というか、パット・メセニー節というメロディーが頻繁に現れ、ブラインド・フォールドテストをすれば、かなりの高い確率で演奏者が特定されるミュージシャンだと思う。だからといって、それがいつもの安易な自分のスタイルを模倣した演奏に終始しているわけではないと思う。常に、音のつながりを意識した演奏、アドリブを展開している。試しに、彼のソロを聴いてみよう。例えば、この作品の5曲目「Tell It All」でのアドリブを耳を凝らして聴いてゆくと、素晴らしい地平が見えてくる。
 
 パット・メセニーの膨大な作品の中で、この作品が占める位置は、彼の作品を全部網羅して聴いてきたわけでも、年代別に順序立てて聴いたわけでもないので、kumac は語る資格をもっていない。ググると出てくるのは、ECM での最後の作品で、この後パット・メセニーは自分の制作会社を立ち上げて、すべてにおいて自己がプロデューサーになるということにぐらいだ。

 つまりは、ECM のマンフレッド・アイヒャーとの共同作業による音の枠に収まらない音になりつつあったということなのかもしれない。音のイメージの進路にこれまでとちがった方向へ舵を取ったということではないと思う。確かに、これ以後、過激なフリー・フォームの演奏はめっきりと減った印象があるが、それは自分の目指す音の方向が明確になったということなのかもしれない。

 一言で言えば、美しい作品です。

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First Circle/Ecm Records

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Date FM Jazz Struttin 2014.09.06


 なんか、ぱっとしない選曲ですね。スタンダード特集と言っておきながら、何がスタンダードなのか?さっぱりわかりませんでした。曲名だけ?



【1曲目】クッキン・オン・3・バーナーズ「Chew You Up Feat. Kylie Auldist」

 ヒューーチャリング、カイリー・オウルディストと曲の演奏者にはクレジットされていますが、多分、女性ヴォーカリストですね。テイストは、ベンジャミン・ハーマンのニュー・クール・コレクティヴぽい感じですね。ソウルフルで、全く持ってノンジャズの演奏です。
 勾当台公園の円形広場での招待ミュージシャンのコンサートは、混雑して、ゆったりして楽しめる印象はないです。

ブラインド・ベット/Pヴァイン・レコード

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【2曲目】ケニー・バレル「ブロードウェイ」

 ケニー・バレルの快作で、バッブ仕立てのシングルトーンの演奏です。ロイ・ヘインズのドラムが最高ですね。

ヴィレッジ・ヴァンガードの夜+2/ユニバーサル ミュージック クラシック

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【3曲目】ケニー・ドリュー「サンセット」

 ケニー繋がりでしょうか?1996年の録音の作品から、ケニー・ドリューのソロ演奏です。ヨーロッパナイズされた後のケニー・ドリューは正直、あまり好きではないです。

エヴリシング・アイ・ラヴ/ビデオアーツ・ミュージック

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【4曲目】ドリス・デイ「チーク・トゥ・チーク」

 唄モノ、パス。

スタン・セレクション from アヴァンティ PRESENTED BY TOKYO-FM「SU.../SMJ(SME)(M)

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【5曲目】ルー・ドナルドソン「去年の夏」

 ルー・ドナルドソンのバラード演奏です。収録アルバムがわかりませんが、起伏の少ない根詰まりを起こしたようなアルトの音です。こういう音って、個人的には好きです。渋い選曲ですね。



【6曲目】ヴィッキ・ベネ「9月の雨」

 唄モノ、パス。フランス語ですかね。ジャズではなく、ポピュラーですね。

ザ・フレンチ・タッチ(紙ジャケット仕様)/ユニバーサル ミュージック クラシック

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【7曲目】リニー・ロスネス「マイ・ロマンス」

 情緒を省いた、官能的なピアノ演奏ですね。洗練された解釈と云うよりは、脱色した音色です。

レター・トゥ・ビル・エヴァンス/ビデオアーツ・ミュージック

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【8曲目】アルトゥーロ・サンドバール「サンバ・デ・アモーレ」

 この番組お得意の、ブラジルモノ、ノンジャズ。




【9曲目】マリア・ベターニア「カーサ・ヂ・カボクロ」

 唄モノ、パス。ノンジャズ。



【10曲目】トルド・グスタフセン「ザ・ギフト」

 トルド・グスタフセンの最新作でしょうか。いつもの静寂な空間を作り出してくれています。といっても、これまでとさしたる変化はないような気がします。この曲を聴く限りは。むしろ、しだいに、クラシカル(物語)に向かっているような気がします。

Extended Circle/Ecm Records

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Diana Krall『Stepping Out』

 唄モノが苦手な kumac にとっては、結構勇気が要った選択なのですが、(どうして聴く気になったか?)理由は、トリオという小編成の演奏だったこと。それ故に、ダイアナ・クラールのピアノ演奏とヴォーカルが、かなり装飾なく聴けるかも、という期待でした、

 第一印象。ピアノが力強い。声は普通、あまり濃くはなく、ストレート。アドリブ的要素は、そんなに感じないですが、ライブ出ないので、こんなものかもしれません。

 どうしても、ソロピアノの演奏に耳が集中してしまうのですが、男勝りの叩きつけるような音色は、けっこう好きかもしれません。演奏自体は、さほどに特徴あるニュアンスはないし、どちらかと云えば、唄も含めて素っ気ない演奏です。でも、そこが彼女の魅力なのでしょうね。

 バーで一人ので飲んでいる男に対して、「あんた何者さ」と煙草をくわえながら、ちょっとちょっかいを出してくるような、それでいて素っ気ない。思わせぶりな態度を見せる、生意気なおねえちゃん、みたいな雰囲気が独特です。いわゆる唄で勝負するシンガーでもなく、かわいい声のアイドル的なシンガーでもなく、役者的な匂いがしてきます。ここいらへんが、人気がある理由ではないでしょうか。男一人が、色々と夢想しながら、にやにやして聴く、そんなシチュエーションが浮かんできます。というか、kumac が今、これを聴いていて、そういう気分に浸っております。

 いいですね。文句なしです。

 ピアノ演奏は、日本ハムの大谷のように二刀流ではないですね。アルバムの中でもヴォーカルなしのピアノトリオとしての演奏が数曲入っていますが、どこまでいってもヴォーカル仕様のピアノ演奏スタイルです。ピアニストとしての個性はさほど感じませんでした。

 この作品は、ダイアナ・クラールの最初のアルバムです。彼女は1964年生まれ、この作品は1992年の録音ですから、このとき、ダイアン・クラールは28歳です。これで、この貫禄はすさまじいですね。エラとかカーメン・マクレエ、サラ・ボーンという技巧的な先達に比べると、色気という点で一線を引けるような気がしますが、その中でもかなり挑発的な演奏です。

 良いモノを聴かせていただきました。


Stepping Out/Justin Time Records

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