New Cool Collective『Sugar Protocol』 | kumac's Jazz

New Cool Collective『Sugar Protocol』

 オランダのアルトサックスプレーヤーであるベンジャミン・ハーマン率いるNew Cool Collective の2009年の来日に合わせて発売された作品です。録音も、この1年程度前ではないかと考えられます。

 

 タイトルに『feat. LOS PAPINES & MAPACHA AFRICA』とクレジットされており、LOS PAPINESは、キューバのラテン音楽であるルンバ、グァグァンコーの演奏者4人組であり、MAPACHA AFRICAはアデウデウというアフリカのイテソ族の伝統楽器であるギターの音に太鼓を加えグルーヴ感を出してゆくリズミカルな伝統音楽を演奏する3人組です。LOS PAPINESの音楽のルーツも、もちろんアフリカにあります。

 

 kumac がニュー・クール・コレクティブを生で見たのが、2011年2013年の東京ジャズです。その時点では、このような民俗音楽の複合したリズムとハーモニー、そして原色傾向の陽気な音色の音楽は、直接に感じられませんでしたが、今思えば、あのとき聴いたニュー・クール・コレクティブの音楽ができあがってゆく過程ではこのような、無色透明なあまり創造行為といった音楽の仕掛けを意識しなくてよい音を享受していたということを、知りました。面白い。

 

 このようなアプローチは、ニュー・クール・コレクティブにとっては、集団演奏でグルーブ感を出す感覚を身につけると言う点で、かなり重要な過程と捉えられるのではないでしょうか。そのグルーブ感を土台として、即興演奏を繰り広げるというのが、今のニュー・クール・コレクティブの一つのコンセプトになっていると思います。

 

 単純に言えば、この作品での肉声(vocal)をハーマンのサックスに置き換えてみれば、それは今(といっても2013年時点です)のニュー・クール・コレクティブに近づくのではないでしょうか。それにもとソウルの要素とロックの要素を組み合わせれば、より完成形になると思います。

 

 そういうことは抜きにして、単純にこの作品を、湧き踊るクールな民俗音楽として享受することで十分なのだと思います。ノリノリで身体を動かし、腰振って、魂振りしましょう。

 

 

 

Sugar Protocol Sugar Protocol
 
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