Warne Marsh - Ted Brown『Live in Hollywood 1957』 | kumac's Jazz

Warne Marsh - Ted Brown『Live in Hollywood 1957』

 トリスターノ門下のテナー奏者テッド・ブラウンが所持していたクラブにおけるプライベートの録音テープの提供を受けてマシュマロレコードがCD化した作品。メンバーは、Warne Mardh(ts)、Ted Brown(ts)、Ronnie Ball(p)、Ben Tuker(b)、JeffMorton(ds)。

 

 ライナーノーツに書かれているテッド・ブラウンの回想によれば、ニューヨークでトリスターノの録音スタジオが1955年から1956年にかけて売りに出され、トリスターノとジャズ演奏の研鑽を積めなくなり、テッド・ブラウンがカルフォルニアに移動したのは1956年後半とのことです。

 

 それから、カルフォルニアでテッドブラウンは、ウォーン・マーシュの誘いを受け、このバンドで約8ヶ月演奏したとのことです。このブログでは以前に、同じメンバーでのスタジオ録音作品Warne Marsh『Jazz Of Two Cities』を紹介しました。そのときに聴いた印象は、あまり現在は残っていないのですが、確かロニー・ボールの演奏が妙に気に入った(他の作品でもそうなのですが)はずです。

 

 今、Warne Marsh『Jazz Of Two Cities』の演奏と比べることはできないのですが、さっと聴いて感じたのは、かなり自由奔放に熱気を放つ演奏をしているな、ということです。クラブでのライブ録音ということ、それに録音状態があまりよくないことから、楽器の音のバランスが悪く演奏が粗く感じるのかもしれません。

 

 しかし、そういう二次的な要素を除けば、第一に曲が持つメロディーを本能的に楽しんでいること。第二に、感情表現をかなり奔放に行っていることから、自由奔放という言葉を肌で感じます。録音が1957年2月というハードバップ全盛期の演奏ということもあるのでしょうか。でも、明らかにハードバップとは演奏スタイルが違います。一言で言えば、華美じゃないということでしょうか。

 

 器楽演奏を純粋に楽しんでいる、そいう真摯な姿勢を感じます。7曲目「Oops!」は、その代表的な演奏ではないでしょうか、曲のテーマは、あっさりした構造を提示するだけで、ユニゾンでテーマを演奏した後に、好き勝手にアドリブでイメージの幅を広げてゆきます。とても、楽しそうです。この辺の熱気は、素晴らしいです。決して大勢の支持を得られる演奏ではないですが、これぞジャズだという演奏だと kumac は思います。

 

 次、8曲目「Memories Of You」は、マーシュのバラード演奏から始まります。こういう動物の鳴き声のような本能的なバラードを聴かせられるのは、マーシュ意外ではなかなかいないのではないでしょうか。動物の鳴き声、呻きは、ドルフィーの演奏に通じる肉声と楽器が繋がった、そう簡単には達成できない境地が再現されています。マーシュ好みの方にとっては、最高の演奏です。

 

 録音状態がかなり悪い作品ですが、集中して聴いてゆくうちに、演奏の熱気に引き込まれてしまうよい作品です。