Sonny Clark『My Conception』 | kumac's Jazz

Sonny Clark『My Conception』

 このブログ、ソニー・クラークの作品をどれくらい取り上げたか検索してみたら、たった1作でした。タイム盤の『ソニー・クラーク・トリオ』だた1作です。あれ?とにかく、ジャズ好きなら、どこかで一度は通る道を kumac も通っており、あの『クール・ストラッチン』に大感激した一人ですから、最低限、ブルーノートレーベルの作品はすべて取り上げていると思っていましたので、自分でも意外です。

 確かに、kumac がソニー・クラークを沢山聞いていた時期は、、まだCDがなかった時期で、CD全盛の時代になる直前にLPはほとんどすべて処分したので、昔買ったことのあるLPをわざわざCDで買わなくてもいいやという、ある種、ジャズに対する禁欲的(?)で誠実(?)な態度(?)を押し通してきたわけです。

 そして、この期に及んでも、長らく未発表だった『My Conception』を聴いているわけです。

 ソニ・クラークは禁欲的なピアニストである。それ故、アメリカでは人気を得られなかった(巷から聞こえてくる話であり、本当に人気がなかったのか、kumac は真実は知らない。)のではないかと思っています。演奏の、どこかでエモーショナルになる部分が出てきても良いのですが、その盛り上がりがないのです。ただ単に自己に対してブルージーでソウルフルであるだけで、視聴者を喜ばせようとする意識が感じられなません。

 多分、日本人とは、そういう点で気が合ったのではないでしょうか。こう聴いていると、ドナルド・バードやハンク・モブレーのホーン楽器の華やかさ微塵も感じらません。例えば、3曲目「Minor Meeting」ですが、激しくブローするバードとモブレーの次に現れるソニー・クラークのソロは、なんとも地味です。どう考えても、内に向いている演奏です。じっと目を瞑って、一音一音をかみしめて聴いてゆけば、思わずほくそ笑んでしまうソニー・クラークの演奏があるのですが、そういう精神感覚でアメリカの人達が聴くとはとても想像できないのです。

 いや、中には例外もあり、虚無僧の格好をしてマンハッタンを闊歩するアメリカ人もいるはずで、人気が全くなかったわけではないと思います。

 アート・ブレイキーの煽るファンキーなドラミングに対して、あくまでクールな態度で音を響かせるソニー・クラークって面白いです。

My Conception (Remastered) [Bonus Track Version]/Lilith Records

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