Mccoy Tyner『Just Feelin』 | kumac's Jazz

Mccoy Tyner『Just Feelin』

 1991年のマッコイ・タイナーのピアノトリオ作品。メンバーは、McCoy Tyner(p)、Avery Sharp(b)、Louis Hayes(ds)。

 新しく始まった Apple の Apple Music の再生をランダムにして(ただしジャンルはジャズ)、聴いていて、気になった作品です。何が、気になったのかというと、ここまでマッコイ・タイナーのピアノトリオ演奏で、コルトレーンのある一つの形の完成形である『至上の愛』の精神を希求した演奏をかつて聴いたことがなかったからでした(突き詰めると、タイトル曲だけかもしれませんが)。

 マッコイ・タイナーがコルトレーンの元から離れ、独歩し始めたとき、彼の中にはコルトレーンが求めた音のイメージが、ずっと消えない残像として残っていたと思います。それを、自身の作品で再現するのに、壮大なオーケストレーションを使った音で試みた感があるのですが、小編成のコンボの作品では、ほとんど聴いたことがありませんでした。kumac 自身があまりマッコイ・タイナーの、それ以降を意識して聴いていないことが大きな理由ではあると思いますが、どうも出会えなかったと言ってしまいたい衝動にもかられます。

 コルトレーンのシーツ・オブ・サウンドを彷彿とさせるタイナーのピアノ演奏が惜しみもなく聴けるのがこの作品だと思います。演奏自体の精神性については、マッコイ・タイナーにコルトレーンを否定する要素はありませんから、必然的に、『至上の愛』ををなぞらざるを得ない印象となるのではないかと思います。

 問題は、ドラマーです。ロイ・ヘインズが駄目ではないのですが、どうしてもエルビン・ジョーンズの叩きが必要になるという、至極保守主義な感覚を持ってしまいます。この作品、エレクトリックベースに持ち替えたりもする Avery Sharp のベースに疑問視が付くようですが、それはあまり関係ないような気がします。問題は、ドラミングです。

 コルトレーンのカルテットでのマッコイ・タイナーの演奏が気に入った方なら、絶対に気に入ることのできる作品ではないかと思います。

Just Feelin/Quicksilver

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